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「………水族館?」
今度は何を言い出したのかと、目線の先を辿ると、街灯の下に水族館の案内板があった。
「ああ。この近くにある…」
―――パタッ。
大粒の雨が、車の屋根に落ちて弾けた。
「まずいな。雨が降ってきた。取り敢えず、車に乗って」
「……でも、車が濡れるし、汚れちゃうから」
躊躇う女を、苦笑交じりに急かす。
「どうせ、仕事で使ってる車だから構わないよ。
返ってごめんな。汚なくて」
彼女は、その言葉に安心したようにようやく車に乗り込んだ。
―――同時に、雨が、本格的に降り始めた。
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