『靴』

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アパートに到着するとすぐに、まずは女をバスルームへと連れて行った。   「服は洗濯に掛けとけば…乾燥機能もついてるし。その間に、風呂入って温まるといいよ。 俺は、ちょっとそこまで何か食べる物買ってくる。 ウチ、何もなかったからさ。留守番、頼むよ」   出会ったばかりの女に、留守番を頼むというのも非常識な話だが、どうせ盗られて困るようなものなどありはしない。   それよりも、少し一人で冷静になる時間が欲しかった。   言葉が矢継ぎ早なのも、動揺を誤魔化すためだ。 僕は、濡れた服を着替えて、再び雨の中出て行った。   相変わらず、雨はシトシトと降り続いている。
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