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「遅かったね」
部屋に戻ると、彼女はちゃんとそこにいた。
もしかしたら、もう、いないかもしれない……という気持ちもあった。
彼女の存在を確認した瞬間、安堵とも、焦燥とも言える、奇妙な感覚に捕らわれた。
もっとも……。
リビングのソファに、バスタオル一枚の姿で腰掛けていた時点で、安堵という気持ちは消え去っていったが……。
平静を装い、ガサガサと袋を探る。
「外は、さっきより雨がひどくなってたよ。
俺も、軽くシャワー浴びてくるから、ビールでもジュースでも好きなの飲んで。あ、そうだ。これは、君に」
一気に捲し立て、視線は反らしたまま、サンダルの入った箱を彼女に渡した。
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