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「なあに?」
「開けてごらん」
彼女は、いそいそと箱の中を覗き込むと、
「綺麗……」
と、呟いた。
「気に入った?」
「とっても!ねぇ、履いてみてもいい?」
「ああ。君のだからね」
内心、サイズが合うか心配だったが、靴は、まるで彼女の足に誂えて作られたように、ピッタリだった。
「真珠みたいな色…」
彼女は、初めて笑顔を見せた。
化粧がすっかり落ちているせいかもしれないが、それは、ハッとするほど幼くて、蠱惑的な笑顔だった。
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