『泡』

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  夢を見たのだ……。   そう思おうにも……。   テーブルの上で、真っ赤なハイヒールが片方、朝日に照らされて、鈍い光を放っていた。   今更になって、お互い名前すら名乗らなかったことに気づく。   まるで、おとぎ話の人魚姫みたいだ。   海で出会って、朝になったら泡となって消えてしまった。
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