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波を掻き分け、ようやく人影まで辿り着く。
「何してるんだ!!」
咄嗟に掴んだ腕は、ハッとするほど細くて、一瞬手を緩めそうになった。
いや、手を緩めてしまった理由は、それだけじゃなかった。
キョトンとしたように、真っ直ぐに僕を見つめてきた瞳が、あまりにもあどけなかったのだ。
派手な化粧は、海水に溶けてぐちゃぐちゃで。
なのに、思わず息を飲んでしまう程に不思議な色香と美しさを纏った女だった。
しばらく、二人して、腰の辺りまで海に浸かったまま見つめ合っていた。
端から見れば、さぞかし滑稽な姿であっただろう。
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