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「あ、か…ちゃん…?」
一瞬私は何が起こったのか分からず、ただボーッと目の前で泣いている赤ん坊を見ていた。
「……もしかして、捨てて…?」
ようやく現状を解釈しかけてきた、その時だった。
「…おいっ、そこで何してる!?」
「っ!!」
後ろから激しく怒鳴った声が聞こえ、私は思わずバタンとロッカーの扉を閉めてしまった。
「なっ、何て事するんだ!赤ん坊の面倒にはしっかり責任を持て!!」
ツカツカと怒鳴りながら私に寄って来たのは、近くの駅員さんだった。どうやら私が捨てたのだと思われてしまっている。
「ち、違っ…!これは私じゃなっ……」
「何言ってるんだ!アンタを恋しがってる子供の声が聞こえないのか!?」
「そ、それは…」
ロッカーの中から響く幼い叫びにどう言ったらいいか分からず、言葉がつっかかってしまう。
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