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家に着いても、赤ん坊はまだグッスリ寝ていた。
「……ずいぶん落ち着いてる子ね、今の自分が置かれている状況も知らないで……」
小さな溜め息をつくと、一先ず私は赤ん坊をベッドの上に寝かせた。
…すると、私が手を離した途端に赤ん坊の目がバチッと開いた。
「っ…!?」
「ふっ…ふぇっ……」
「えっ…!?やっ…!」
今にも泣き出しそうな赤ん坊を見た私は、慌てて両手を差し出した。
「……ぅう――っ…」
私が急いで赤ん坊の体を掬い上げると、赤ん坊はうるんだ目でこちらを見たかと思うと直ぐにまた眠りについてしまった。
「……安心したの?」
こんな私の手で安心したの?そうなの?……
とりあえず今日は赤ん坊を私の隣で眠らせ、一緒に一夜を過ごした。
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