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拳銃が、ヴァリスの手から血飛沫とともに吹き飛び、床にぶつかり乾いた音をたてる。
神(ジン)の左手には、愛用の拳銃が握られていた。
どうやら、拳銃を落とすと共に長官の手首から先をも破砕したようだ。
傷口からは、脈動に合わせて血液が溢れ出す。
「あ゙ぁぁぁぁぁ!!」
ヴァリスは激痛に叫び、右手を押さえる。
しかし、神はそれに構うことなく、その場に似つかわしくない無邪気な笑みをヴァリスに向けて、言葉を発する。
「そんな簡単に死なせるわけないだろ。」
そして、更に言葉で追い撃ちをかける。
「あんたには感謝を込めて、じっくりと痛みを味わってもらうんだから、途中で勝手に死なれちゃ困るよ。」
その言葉は、死刑執行人の宣告より何倍も残酷で、何より愉しそうだった。
「次は…。」
神は、床に蹲(うずくま)っているヴァリスを足で転がし、仰向けにさせると、腰に吊した鞘から大振りのナイフを抜き、邪魔な衣服を裂いてゆく。
露になったヴァリスの不健康そうな青白い肌。
神は、これまた愛用の艶消しの施された黒いナイフを取り出し、至福の笑みを浮かべ、そこに刃を滑らせる。
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