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神(ジン)という名の少年。
その少年は、殺し屋だ。
しかし、神は殺人現場を警官に見つかっても捕まらない。
それどころか、労いの言葉をかけられるくらいだ。
「御苦労様です。処理は、こちらにお任せ下さい。車を用意してありますので、家までお送り致します。」
それを神は、さも当たり前かのように回されて来た車に乗り込む。
そのやり取りは、まるで神と警官が仲間であるかのよう。
本来ならば敵同士のはずの神と警官は、ある契約の下、味方同士なのである。
つまり、神は警察お付きの殺し屋…否、警察の犬だ。
しかし、警官達は神を全面的に信用しているわけではない。
むしろ、常に監視、警戒されており、必要ならばと身構えている者さえいる。
無論、神も警官たちを信用してなどいない。
よって、神と警官とのやり取りは必要最低限にしか、行われない。
お互い、情が移ってしまうのを防ぐためだ。
神は、殺人鬼だった。
当時15歳だった神は、快楽のために殺人を繰り返した。
しかし、今では「仕事」になっていた。
ひょんなことから捕まり、死刑を待つばかりの身だった神だが、死刑は執行されず、執行猶予期間中のある日。
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