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「あっ待った。言い忘れたことが二つある。君がこれから住む家をこちらで用意した。これから探すのは、大変だろうからな。鍵と家までの地図は、出た所で貰ってくれ。もう一つは、君は世間では死んだ事になっている。まぁ、君はまだ未成年だから顔は公にはされていないが、充分に気を付けてくれ。」
長官は、それだけ言って、神を見送った。
「これは、これは、ご丁寧にどうも。」
神は、それに皮肉気味に応じると、部屋を出て言われた通り鍵と地図を貰い、出口に向かって廊下を歩いて行く。
その途中、神は吐き捨てるように悪態をつく。
「何が大変だろうからな、だ。俺を見失わないように監視を容易にするためだろ?あぁ、ヘドが出る。」
そして、数分後。
出口に辿り着いた神は、先ほど悪態をついたことも忘れたかのように晴々とした表情で伸びをし、呑気に歩き出す。
「う~ん。外の空気に触れるのは、随分と久々だな。やっぱ、外は良いや。って事で、地図頼りに家まで行くか~。」
今、何時かと携帯を開くと、13時を表示していた。
それを見て、神の腹の虫がクゥ~と鳴る。
「そう言えば、朝から何も食ってねぇんだっけ。腹減った~、何か食おう。あれ、そういや金持ってねぇ。」
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