【第二話】

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カチ、カチ、カチ、カチ、カ…。  刻一刻(こくいっこく)と時間が迫る。  太陽が夕闇に呑まれて、消え失せる。 カチ、カチ、カチ、カチ…。  時計が静かに時を刻む。 そして、7時……。  それまで、リビングのソファーで静かに座禅し、目を閉じていた神はゆっくりと目を開らくと、深呼吸をして立ち上がる。  そして、キッチンへ向かい、何か適当に作って食べる。  それから神は、ソファーに座り直し、何を見るでもなくテレビをボーッと、見る。  そうして、30分位経過し、携帯電話に一本の電話がかかってくる。  それをほぼ反射的に取り、耳にあてる。  すると、運転士の声が耳に届く。  『もしもし、神(ジン)様?そちらには、8時頃に到着する予定です。準備は、出来ていますか?』 「あぁ。済ませてある。」 『了解しました。では、失礼します。』  運転士と神は共に常のように科白(セリフ)を口にし、電話を切り、パタンと携帯を閉める。  神は、目をテレビに戻すが、テレビの内容は、右から左に通り抜け、頭まで至っていなかった。 カチ、カチ、カチ…。 8時、10分前…。  神はテレビを消し、ソファーに座ったまま、瞑想を始める。
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