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そこから、男が姿を表し、神を追って来た。
「わぁお♪すっげぇ怪力♪」
神は、緊張感のまるでない、喜色の浮かんだ声を出す。
そして、口の端をにやりと歪め、自分にだけ聞こえるように小声で言う。
「さて、準備運動と行きますか…。」
そう言って、神は走る速度を早め、目的の場所に着く前に追い付かれることもなく、男が神を見失わないように加減しながら走った。
幸い、目撃者はいなかったのが、もし、少年または、青年を鎖鎌を持った大男が、追い掛けているというこの状態を通行人などが見たら、どう思うのだろうか?
悲鳴をあげるだろうか?
通報するだろうか?
まぁ何にせよ、神が赴いている今、警察が動くことはないだろう。
神が、それで死んだら警察たちにとっては、むしろ脅威がいなくなって、好都合であるのだから。
神は、そんなことを思いつつ走っていると、目的地の白い建物が見えて来た。
「よし、後もう少し。」
神は、男が着いて来ているのを確認してから、その建物に入るべく、金網の破れ目から敷地内に侵入した。
背後に自分より体重の重い人間が、砂利を踏み付ける音を聞きながら神は、入口へと続く砂利道を駆け抜ける。
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