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熱中症
ある夏の日の救急外来に行くと
女性研修医Aが大きな声で若い女性と言い争いをしていた。
その脇には小さい子供が点滴をされながらぐったりしていた。
看護師にどういうことか聞いてみると
その言い争っている女性が車内に子供を残したままパチンコに行って子供が熱中症になったという。
女性「ちゃんと車にクーラーも付けておいたんだから。そんなに熱くなるとは思ってなかったのよ!そこまで言わなくていいでしょ!」
女性研修医「言い訳をしないでよ!クーラーをつけても車内は直射日光で暑いのわからないの?子供を殺しかけてパチンコしている神経がしれないわ。母親失格ね。」
お互い感情をむき出しにして言い争いをしている。
私も女性研修医の気持ちがよくわかる。特に彼女は幼い子供を持つ母親でもあり、どうしても怒りが収まらないのであろう。
だが、感情をぶつけ非難するだけではその若い女性には響かないようであった。
小児科の上司が母親を椅子に座らせ、自分もゆっくりと椅子に座り母親の目を見て話し始めた。
上司「○○さん…これまでパチンコ屋の駐車場で亡くなった子供のお話を聞いたことありますか?毎年何人も幼い命が失っているんです。お子さんはひどい熱中症で後もう少し発見が遅れていれば助からなかったでしょう。一歩間違えば貴方が殺したことになります。親としての自覚を持って下さい。子供に謝って下さい。」
話し方は非常に穏やかに話しかけた小児科医の上司の言葉を聞いて、自分のした過ちを気付いた母親は涙を流し始めていた。
そして子供に「ごめんね、ごめんね。」と謝っていた。
テレビでは死亡した場合には放送されているが、今回の様なことは度々救急外来で起こっている。
このようなことが無いことを切に願う。
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