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机に並ぶ豪勢な食事たち。
焼き鮭、カブの煮物、ご飯、味噌汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、その他もろもろ。
「うわあ...流石は高級旅館!朝御飯も格が違うね、格が!」
林檎の目が輝き、箸を握って満面の笑みを浮かべる。
「...」
俺は若干、林檎の変わりように退いていた。
「ねぇねぇ悠大、早く食べよう?いいよね?いただきまーす!」
「...いただきます」
これが、《こいつが林檎だ》とよく実感する瞬間だったりする。
まるでフードファイターのように勢いよく料理にかぶりつく林檎。
「...ふぅ...ごちそうさま...」
かちゃりと箸を置き、休むねと言って部屋の奥で横になる。
...ちなみに俺は、まだ焼き鮭の皮を剥がしたところだ。
う~ん、旨そう。
ふと視線を感じ林檎に目をやると、こちらをじっと見ている。
俺は焼き鮭を摘まんだまま固まる。
キラキラと光る林檎の双桙。
「あー、林檎?」
「...」
目を輝かせるだけじゃ何も伝わりませんよー?
そう言おうと思ったが、何となく思ったことを言ってみる。
「あー、食べる?」
俺がそういうと、林檎は頬を膨らませた。
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