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黒光りする拳銃を手に取り眉をひそめた。 「…どうみても盗品だろ、これ」 思わず母国語で呟く。 相手さんはどうせ何を言ってるかわからない。 こちらがなにを言おうがただの独り言としか見てないだろう。 てゆうか裏の人間が英語しか喋れないってどうよ。 目の前にいる商売でいうお得意様は、裏でも表でもヤバいことをしてると有名だった。 そんな彼の信念は「誰も信じるな」ということらしい。 俗に言う一匹狼。 信じないで生きてきた。 愛人や友人や親でさえ。 だが俺は違うらしい。 正確には"俺たちは"、だ。 俺たちが世界が滅びない、と言うなら滅びないだろうとか。 飛べるというなら飛べるとか。 馬鹿馬鹿しい。 馬鹿馬鹿しいけど、そんなに悪い気もしない。
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