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あのね、心臓ぜんぜん弱くないから。
手術したのは本当だけど、心臓病とかでたらめ。
そんなおっきな爆弾かかえてたら俺もう死んでるし。
彼女を抱きしめるとすっぽり腕に収まった。
胸に傷跡があたるけど痛みもしないし疼きもしない。
『目が覚めたら彼はいなくなっていました。
何も言えずに彼はいなくなっていました。』
「ねぇシンゴー」
「ん」
「ずーっと愛してる」
嬉しそうに彼女が囁くと、薄い唇が自分の唇に重なっていた。
それをただ受け入れてぼんやり考えた。
出会って24時間もたってないのに、愛してるかぁ。
愛っていうのもずいぶん簡単になったもんだねぇ。
もう超お手軽って感じ。
「俺も、愛してるよ」
でも、何故虚偽だとわかって自分自身も愛をささやくんだろう。
嗚呼、そうか。
これもただの暇つぶしか。
一人納得すると、また女とじゃれあいはじめた。
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