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「気がついたか?」
…誰だ?
野太い声。
聞き覚えがない。
青年の虚ろな瞳が揺れ動く。
するとさっきまで暗かった視界が明るくなった。
…いや、眩しい。
ペンライトが自分に向けられている。
眩しさに青年は反射的に目を伏せた。
男の声が二つする。
「お目覚めだぜ」
「へぇ。けっこう男らしい顔つき…」
そういって声のひとりはクッと青年の顎を掴む。
青年は振り払う元気もなくただ相手を睨みつけた。
「おいおい、こいつ威勢だけは立派だぜ?」
「まったくだ…。でもさっさと本題いった方がよくないか?」
「それもそうだな」
本題?なんのつもり…。
顎を掴む男は青年と目線を合わせた。
青年はその時初めてまともに彼の姿をみた。
一言でいい美的センス0。
黄色のスーツに若干紫の髪。
目は意地悪くギラギラ光っていて口はニヤニヤと笑っている。
…醜い。
青年は息をのんだ。
でも自分もお世辞にはキレイとは言えない状態だと分かり切っている。
ぼんやりとそんなこをと思っている間にも男はニヤニヤ笑っていた。
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