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げほっと咳をした。
同時に口の端から生暖かいものが流れていく。
それはシャツに新しい赤い染みを作っていった。
口の中切れたな。
殴られ続けてるにも関わらずふと青年はぼんやりと考えた。
無事なんだろうか。
傷つけられてないだろうか。
あの子達は生きてるだろうか。
ちゃんと二人だろうか。
否、それを考えることすらただの逃避なのかもしれない。
死にたくない、という願望の。
不思議だ。
三年前はあれほど"死にたい"って思ってたのに。
今は…
「あぁ、…ぐ…っ…!」
相手は半ばヒステリックにほかの奴らはどこにいる、と叫んでいる。
青年は何も言わなかった。
ただ、沈黙を守り続けた。
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