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「…しぶといね、ホントに」
30分ぐらいがたった。
さすがに殴り疲れたのか汗を拭き男は舌打ちをして拷問具を床に投げ捨てた。
狭い部屋に重く鈍い反跫音が響く。
「……っ…」
もう一人の男はぐったりとうなだれ荒く息をする青年の黒髪をぐい、と持ち上げた。
「早く吐け、あんたのお仲間さんはどこだ」
「…」
「どこにいるんだ」
虚ろな瞳で視線をさまよわせていた青年はゆっくりと男と目を合わせる。
そして口の端を持ち上げ不適な笑みを浮かべた。
無駄だよ。
君たちがどう足掻こうと、僕がどれだけ傷つこうが、僕は何も言わない。
何も悟らせない。
男はその瞳に気圧されて何も言えずに黙り込んだ。
だが、何かに取り付かれたようにカッと目を見開きさきほど投げ捨てられた拷問具を拾い上げ握りしめた。
それを間髪なく青年の頬に叩きつけた。
一発だけではなく何回も何回も。
鈍い音が響き青年から苦しげなうめき声が漏れる。
だんだんと瞳に霧がかかったようになり意識すら薄くなってきた。
「ちゃっちゃと吐きな!!
ほかの奴らは!どこだ!
早く言え!ピンク!」
『…大丈夫、だよ…。
ね…ピンク…』
ピンク。
最後にピンクって呼んだのは…あの人…。
ピンクは意識を闇に手放した。
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