夕輝

出逢い

「行ってきまーす」

紫藤光明はそう言って家を出た。

第一志望校の入試だが不思議と緊張はしてなかった。

入試会場となっている教室に入ると既に何人かの生徒が席につき、参考書を机にひろげ教科書片手に追い込みをしていた。

自分の受験番号と一致する机をさがし光明も席についた。

教科書をひらきパラパラとめくっていた。

１０分前に試験監督の先生が入ってきた。

各自教科書や参考書を片付け、筆記用具の準備をはじめた。

シャーペン二本と消しゴム一つを机におき筆箱をしまう光明。

ふと隣りの席を見るとシャーペン二本をだしてなお、筆箱をあさっていた生徒がいた。