第一章 管理官の犯罪

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源氏の頭脳の中には今後の展開が明確に記されていた。 その作業を終了すると、源氏は洋服ダンスに入っている黒いコートだけを引き裂いた。ナイフで異常な雰囲気を醸し出す様にズタズタにして… よし、これで良いだろうな…源氏は納得して部屋を見渡した。 乾の死体からはさっきよりも血液が流れていて、大きな池を作っていた。 ぼやけた視界にも少し慣れ、源氏はゆっくりと玄関へ進み警戒しながらドアを開けて外に出た。 後は死体を見つけたと誰かに電話しよう…胸ポケットから携帯電話を取り出した。 「アッハッハッハ~」 その時、マンションに大きな笑い声が響いた。 源氏も警戒する様に一瞬動きを止め、声のする駐車場を見下ろした。 そこには二人の女が騒いでいる。良く見えないが、黄色いトレーナーを着た中学生が騒いで二十歳前後の連れも一緒になって盛り上がっていた。 そして三分ほどすると、大人の方が中学生の手を強引に引っ張って物陰に入った。 何をやってるんだ…少々うんざりしながら再び発信を開始した。 相手は刑事なら誰でも良かったが、とりあえず今夜一課に滞在している人間に電話をかけた。 「はい、管理官。お疲れ様です。どうかしました?」 疲れている声だったが、源氏からの突然の電話に精一杯の応対を見せていた。 「悪いんだが、死体を発見したんだ。至急来てくれないか?今から住所を教える…」 戸惑う刑事に淡々と状況を説明しながらも、源氏の口元は笑みを浮かべていた。
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