第一章 管理官の犯罪

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「あなた達、今の言葉聞いた?」 堀谷が制服警官に尋ねた。制服警官はうなずく。 「どういう事だ?」 松井は妙な雰囲気から思わず堀谷に訊いた。 「どうして飲んでいた物がウィスキーだってわかったんですか?」 その言葉を聞いた瞬間、松井の背中に悪寒が走った。 やられたとも感じたが、とにかく大変な吐き気を起こしそうになっていたのだ。 この小さな刑事の粘りに隙を見せた事を後悔した。 「そうなんです。警察が到着した時、現場にはウィスキーはありませんでした。あなたが犯行を行った後、部屋に入った久保さんが持ち去ってしまったんです。ウィスキーは事件のあった日に届いています。つまり、被害者の部屋に入っていないあなたがなぜウィスキーの事を知っていたのか…理由をお聞かせ願えますか?」 堀谷は畳み掛ける。そして松井は返す言葉が無くなっていた。 「わかったよ。もう降参だ…」 「では警視庁まで来ていただけますね。」 松井はああ、と元気の無い声で言い、後ろに立ったままの女刑事を恨めしそうに見た後、制服警官に連れられた。
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