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「あなた達、今の言葉聞いた?」
堀谷が制服警官に尋ねた。制服警官はうなずく。
「どういう事だ?」
松井は妙な雰囲気から思わず堀谷に訊いた。
「どうして飲んでいた物がウィスキーだってわかったんですか?」
その言葉を聞いた瞬間、松井の背中に悪寒が走った。
やられたとも感じたが、とにかく大変な吐き気を起こしそうになっていたのだ。
この小さな刑事の粘りに隙を見せた事を後悔した。
「そうなんです。警察が到着した時、現場にはウィスキーはありませんでした。あなたが犯行を行った後、部屋に入った久保さんが持ち去ってしまったんです。ウィスキーは事件のあった日に届いています。つまり、被害者の部屋に入っていないあなたがなぜウィスキーの事を知っていたのか…理由をお聞かせ願えますか?」
堀谷は畳み掛ける。そして松井は返す言葉が無くなっていた。
「わかったよ。もう降参だ…」
「では警視庁まで来ていただけますね。」
松井はああ、と元気の無い声で言い、後ろに立ったままの女刑事を恨めしそうに見た後、制服警官に連れられた。
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