第一章 管理官の犯罪

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       2 金融ブローカー殺人事件捜査本部に源氏真一の携帯電話の着信音が鳴り響く。 きっと堀谷君だな…源氏は電話を取る。 「はい、源氏」 「堀谷です。午後四時十二分、松井淳史を逮捕しました」 報告を聞いた源氏は安堵の表情を浮かべた。 「よくやった。ご苦労だ」 源氏は電話を切った。 「みんな、聞いてくれ。被疑者を逮捕した」 源氏がマイク越しに言うと本部にいる数名の刑事が歓声を上げる。 そしてその中の一人が源氏に声をかけた。 「管理官、やりましたね」 「そうだな。それにしても堀谷君は素晴らしい。彼女は若いのに良くやっているよ」 「いや、それよりも管理官の判断力を尊敬しますよ。管理官が指揮を取られる事件は検挙率が高いですから」 「ありがとう。でもあまり口にし過ぎるとわざとらしく聞こえるよ。お世辞はあまり好きじゃない」 源氏は目も合わさずに言ってのけ、刑事は苦笑いのまま源氏の元を離れた。 堀谷君はやってくれるな…源氏はふと思うと口元から思わず笑みがこぼれた。
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