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金融ブローカー殺人事件捜査本部に源氏真一の携帯電話の着信音が鳴り響く。
きっと堀谷君だな…源氏は電話を取る。
「はい、源氏」
「堀谷です。午後四時十二分、松井淳史を逮捕しました」
報告を聞いた源氏は安堵の表情を浮かべた。
「よくやった。ご苦労だ」
源氏は電話を切った。
「みんな、聞いてくれ。被疑者を逮捕した」
源氏がマイク越しに言うと本部にいる数名の刑事が歓声を上げる。
そしてその中の一人が源氏に声をかけた。
「管理官、やりましたね」
「そうだな。それにしても堀谷君は素晴らしい。彼女は若いのに良くやっているよ」
「いや、それよりも管理官の判断力を尊敬しますよ。管理官が指揮を取られる事件は検挙率が高いですから」
「ありがとう。でもあまり口にし過ぎるとわざとらしく聞こえるよ。お世辞はあまり好きじゃない」
源氏は目も合わさずに言ってのけ、刑事は苦笑いのまま源氏の元を離れた。
堀谷君はやってくれるな…源氏はふと思うと口元から思わず笑みがこぼれた。
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