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「管理官!」
帰り際、誰かが源氏を呼び止めた。
源氏は振り返る。そこには現場を引き上げたばかりの今回の事件のMVP・堀谷がいた。
「堀谷君、今日はご苦労だったね」
「ありがとうございます」
「君は素晴らしいね。私は君を知って一年半になるが、解決できなかった事件は無い。金融ブローカーの事件から解決までひと月だから今回は特に早かったと思うよ」
「おかげさまで慣れてきました」
堀谷は満足気な笑顔を見せる。しかしその雰囲気はまるで中学生の様だった。
「君は一課に来て二年程だろ?最初は誰かとコンビでも組んでいたのか?」
堀谷ははい、とはっきり答えた。
「誰だ?君を教育したのはきっと優秀な刑事だろうな」
「ええ、志津里警部です。今は一課に居ませんが、私は管理官と同じ位尊敬している素晴らしい刑事でした」
「志津里…聞いた事はある。一緒に捜査した事は無いが」
「去年春に起きた、天保大学女子学生殺人事件まで半年弱、行動を共にしていました」
天保大の事件は源氏ももちろん知っていた。犯人が著名人なだけに印象も強かった。
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