第一章 管理官の犯罪

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「なるほどな…堀谷君が優秀な訳だ」 「いえ、私がここまで頑張れる様になれたのは管理官のおかげです。志津里さんにもお世話になりましたが、付き合いでは管理官のずっと長いですから」 「それはどうもありがとう」 源氏は堀谷から絶大な信頼を得ている事を改めて感じた。生真面目な堀谷を源氏はある意味操作しやすいとも思っている。 「あの、管理官はお忙しいですよね?」 唐突に堀谷は尋ねた。源氏は意図がわからない。 「まあね、どうしてだ?」 「事件も解決したので、明日の夜に食事でもご一緒しませんか?」 急な誘いだった。幾度となく源氏を助け、活躍してくれた部下の事をあまり知らなかった事に気付かされた。 「無理ならいいんですが、もし時間があるならお話なんかもしたいので…」 「そうか、それは大変嬉しいんだが明日の夜は予定があってね。友人と会うことになっているんだ」 それは事実だった。まあ友人と単純に呼べる人間では無いが、表向きは友人であった。 「そうですか…ではまた機会があれば」 「すまないな、必ず行こう。覚えておくよ。期待しててくれ」 「ありがとうございます」 堀谷は笑顔で応える。 「今日はもう帰るのか?」 「いや、報告書の作成がまだですので」 「そうか。興味深く読ませてもらうよ。じゃあ」 「お疲れさまでした」 堀谷は頭を下げ、源氏はその場をゆっくりと去った。
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