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「なるほどな…堀谷君が優秀な訳だ」
「いえ、私がここまで頑張れる様になれたのは管理官のおかげです。志津里さんにもお世話になりましたが、付き合いでは管理官のずっと長いですから」
「それはどうもありがとう」
源氏は堀谷から絶大な信頼を得ている事を改めて感じた。生真面目な堀谷を源氏はある意味操作しやすいとも思っている。
「あの、管理官はお忙しいですよね?」
唐突に堀谷は尋ねた。源氏は意図がわからない。
「まあね、どうしてだ?」
「事件も解決したので、明日の夜に食事でもご一緒しませんか?」
急な誘いだった。幾度となく源氏を助け、活躍してくれた部下の事をあまり知らなかった事に気付かされた。
「無理ならいいんですが、もし時間があるならお話なんかもしたいので…」
「そうか、それは大変嬉しいんだが明日の夜は予定があってね。友人と会うことになっているんだ」
それは事実だった。まあ友人と単純に呼べる人間では無いが、表向きは友人であった。
「そうですか…ではまた機会があれば」
「すまないな、必ず行こう。覚えておくよ。期待しててくれ」
「ありがとうございます」
堀谷は笑顔で応える。
「今日はもう帰るのか?」
「いや、報告書の作成がまだですので」
「そうか。興味深く読ませてもらうよ。じゃあ」
「お疲れさまでした」
堀谷は頭を下げ、源氏はその場をゆっくりと去った。
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