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若気の至りであったが、自らの頭脳の優秀さを自負していた源氏にとって社会への挑戦であり、それは成功を遂げる事となった。
五百万ほどの<成功報酬>に感動を覚えたが、結局それは匿名で寄付した。金には興味がなかった源氏には邪魔なものでしかなかった。
しかし…事態が急変したのはその直後、ターゲットが自殺したのだ。
この後味の悪さに源氏は動揺を覚え、乾もショックを抱えた。
二人だけの秘密、共犯関係はあれからずっと続くこととなった。
エレベーターはいつの間にか四階に到着していた。
源氏は右に向かってゆっくりと歩きだす。
左手には各部屋のドアが続き、右手には柵が続く。柵側には駐車場があった。もちろん、駐車場を確認するには見下げる事になるのだが。
そして一つのドアの前で立ち止まり、インターホンを押した。
すると乾が顔を出す。
「久しぶりだな」
「そ、そうだな。まあ中に入れよ」
乾の招きに源氏は何も応えず、ただ無言のまま部屋に入った。
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