見えぬ敵

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「今日は教育実習生、相澤先生に授業を行っていただきましょう。」 「じゃぁ、みなさん、今日は私がやるので、しっかり聞いていてくださいね。」 教育実習生がニッコリ優しく笑う。 男にして、「私」というのはなんだか変には聞こえるが……違和感がない。 知っている口振りに、話し方。 (駄目だ…何も思い出せない……。) 黒板に書いていることをノートに書き写す。 優一は相変わらず外を見ている。 (確かに……私もあの時に感じた。歪な魔力。あれは一体…) 「ここまで写してくださいね。ちょっと軽い説明に入りますから。」 相澤先生は、優一の方をみると、そこまで歩いていく。 「君は、何故ノートを書かないのかな?」 優一は先生を見る。 「転校生らしいし、これからは新入同士なんだよね?」 相澤先生は優一を冷たい目で見た。 完全に嫌われてる様子。 「それとも、君は午前が苦手かな?」 (なんか話の方向がよくないな。) 優一は相澤先生を見る。 「あっちの学校では、どんな感じだったのかが知りたいですがね。」 優一はずいずい喋ってくる相澤先生に、机の下からノートを出した。 「ちゃんと書いてあるだろ。」 低い声で言う。 多分、うっとうしいのか、怒っているのか… 「これは失礼。では、説明を開始しますよ。」 相澤先生はニッコリとした表情に戻る。 優一は先生を睨んでいた。
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