見えぬ敵

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相澤先生は説明をしながら、生徒を見張るように教室を歩く。 (えっと………これは大切だよね………) 重要だと思った部分を書き写す。 ふと相澤先生を見ると、目が合う。 すると、一瞬だけ、ニッコリ微笑んできた。 (あ…。笑った?) 本当に、自分のよく知っている人に似ている。 「さ、説明はここまでです。次は……」 黒板を書き始める。 書き終えるとみんなを見る。 また、ふと目が合うと、先生は優しく微笑んだ。 (また笑った。なんだろ?) たまに目が合えば、必ず優しい目をしてくる。 チャイムが鳴り、授業が終わる。 「ふぅ……。」 ふと優一を見ると、何か考えている。 「優一?」 「……ん?」 「何か考え事?」 「あの教師が気になる。」 優一はぼそりと呟いた。 「怒られたから?」 「いや……。そうじゃない。」 「?」 優一は外を見た。 「あの教師…ただ者じゃなさそうだ。」 「そうかな?」 「あの目はどこかで見た。」 「奇遇だね。私も同じこと考えてたんだよ?あの話し方とか、笑い方とか、私の知っている人によく似てた。」 「知っている人?」 優一は愛を見た。 「うん。そういう人が、人間界に一人二人いても変じゃないけどね。」 優一は何も言わず、また外を見た。 まるで、何かを警戒しているように。
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