947人が本棚に入れています
本棚に追加
相澤先生は説明をしながら、生徒を見張るように教室を歩く。
(えっと………これは大切だよね………)
重要だと思った部分を書き写す。
ふと相澤先生を見ると、目が合う。
すると、一瞬だけ、ニッコリ微笑んできた。
(あ…。笑った?)
本当に、自分のよく知っている人に似ている。
「さ、説明はここまでです。次は……」
黒板を書き始める。
書き終えるとみんなを見る。
また、ふと目が合うと、先生は優しく微笑んだ。
(また笑った。なんだろ?)
たまに目が合えば、必ず優しい目をしてくる。
チャイムが鳴り、授業が終わる。
「ふぅ……。」
ふと優一を見ると、何か考えている。
「優一?」
「……ん?」
「何か考え事?」
「あの教師が気になる。」
優一はぼそりと呟いた。
「怒られたから?」
「いや……。そうじゃない。」
「?」
優一は外を見た。
「あの教師…ただ者じゃなさそうだ。」
「そうかな?」
「あの目はどこかで見た。」
「奇遇だね。私も同じこと考えてたんだよ?あの話し方とか、笑い方とか、私の知っている人によく似てた。」
「知っている人?」
優一は愛を見た。
「うん。そういう人が、人間界に一人二人いても変じゃないけどね。」
優一は何も言わず、また外を見た。
まるで、何かを警戒しているように。
最初のコメントを投稿しよう!