見えぬ敵

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午前中の授業が終わり、ようやくお昼になる。 優一は立ち上がる。 「優一、どこ行くの?」 「裏庭。」 「あ、一緒にお弁当食べよ。」 「ああ。」 一緒に裏庭に行く。 太陽が当たらない木の下の影の芝生に座ると、お弁当を広げた。 「あれ?優一、お弁当は?」 「パン。」 優一は買ってあったパンと牛乳を広げた。 育ち盛りで、魔力もある優一には、少し少なすぎるように見えた。 「よかったら、カットフルーツも食べてね。」 「サンキュ。」 優一はパンと一緒に果物を食べる。 お昼を食べ終え、少しの時間、ゆっくりする。 優一は芝生に転がっていた。 青い空に、境界のない生活…… 「……いい天気…。」 「…ん?」 優一は、バッ!と体を起こすと空を見た。「どうしたの?」 「何かいる…!」 優一は魔法陣を出す。 そして、何かの文字を魔法で描く。 「人払い……!!」 その文字は散らばる。 散らばった、まさにその瞬間だ、 歪なほどに強大な魔力を感じる。 「……近くにいるが……姿がない。」 「なんで魔術師が……?」 優一が構えた瞬間…… 何か光るものが飛んできた。 「!!」 優一は愛の前に出る。 光るものは優一の間を数センチほど残して魔法とぶつかり合った。 光りは消える。 「闇結界……」 優一は素早く魔法を唱える。 黒い結界が現れる。 また強い光がくる。 光がぶつかった途端に、優一がまた唱えた。 結界が膨張し、空中いっぱいに広がると、一緒、人型のようなものが浮かび上がった。 「光魔法……?」 「捉えた……。――!」 優一はまた唱えると、闇の矛を飛ばした。 だが、それは魔法で打ち消される。 その瞬間、強かった魔力が遠ざかるように消えていった。
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