見えぬ敵

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優一は、東棟の4階のトイレの廊下に来ていた。 教師が片づけをしている。 (近づけないな。仕方ない。少しの間、どいてもらうか。) 優一はルーン文字を描く。 「人払い…。」 文字は飛び散り、壁へ吸収されると、人がいなくなった。 廊下を歩いていくと、ガラスが飛び散った後がある。 血の痕、焼け焦げたような壁の傷。床も、焼け焦げたような跡になっている。 近づき、その傷に触る。 「やっぱり。光魔法の魔力。」 窓ガラスの破片を拾う。 「ん?設置魔法…?」 優一はなるべくあるだけのガラスの破片を集めると、魔法人を描いた。 「我は求め訴えたり。我、優一。王族の神々の闇にて契約を結びた者。汝、オリフィエル、アナエル、ザカリエル。堕天使において、なおば力を持つサマエル。」 魔方陣が黒く光りだす。 「ラファエル、ガブリエル、そしてミカエル。創造の天使を担いて、命令に従い、それぞれ七つの惑星に陣取り、天文学の知識を。さもなくば、我が、そなた等を地獄の奥底にて、闇に包むであろう。来よ!創造の天使よ!知恵をかし、我の力となれ!!」 魔方陣が黒く黒く光ると、ガラスの破片を包み込んだ。 黒い光が晴れると、バラバラだったガラスの破片が、元に戻っていた。 少ない部分もあったが、それでも見える。 「魔方陣か?ルーンか?」 魔方陣が黒い光を薄くして消える瞬間、ガラスに見えないはずの文字が浮かび上がってきた。 「この特徴的な魔方陣。土星4か。一歩間違えれば、4人あるいは…。いや、ソウルのルーンがある。死ぬことはなかったようだが…」 あまりにも酷すぎた。 「もう一つ、土星6か。これは一般的な魔術式。ルーン文字もある。これだけ複数の魔術を仕掛けて行うとは…」 優一は魔方陣を消す。 「上級魔法者。いよいよめんどくさい事になってきたな。」
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