見えぬ敵

22/33
前へ
/526ページ
次へ
愛は優一と一緒に晩御飯を食べる。 食欲が物凄い。 「優一ってたくさん食べるほうなの?」 「必要に応じて。魔法体力がもてればいい。」 「でも、たくさん食べないとお腹すかない?」 「感じたことないな。ほとんど、木の実や、魚で済ませてきたし。」 優一は、しゃべりながらご飯を平らげた。 「ごちそうさん。」 「早いね。」 「俺の日常は、訓練ばかりだったからな。」 「どんな訓練?やっぱり詩人のほうとか、魔術?」 「魔術と体術だ。詩人は師匠の軽い趣味で覚えさせられた。」 「へぇ…。」 愛もご飯を終えるとお皿を水道へ持っていった。 「あ、俺も手伝うよ。」 「ありがとう。」 皿を洗いながら、愛は魔術について聞く。 まだ勉強していないことがありすぎた。 「楽器は、詩人にとって良いことはあるの?」 「風読みがやりやすいだけだが、あとは自然と共感しやすくなるメリットがある。ただ、演奏ができないものには意味がない。」 「自然魔法も、天使が下ろせるのかな?」 「下ろせる。お前、魔法を学ぶとき、祝福をしたろ?」 「ああ。魔法契約?」 「そう。それ。」 皿を洗い終えると机の前に座る。 「これ、借りる。」 優一は使わない紙と、ペンを手に取る。 「魔法契約をしていれば、天使を下ろすことは可能だ。」 「私は光魔法しかわからないな。」 「ただし、魔法契約は全部できないことはわかるな。」 優一は紙に風火水土雷と文字を記入する。 そして、それぞれに矢印をつける。 「うん。私、優一みたいになりたくて風を覚えたけど…水と土の両方、どちらかの組み合わせしかなかったから。水を学んだよ。」 「詳しく説明されなかったのか?」 「変な目で睨まれた。」 愛は不機嫌そうにした。 優一はその睨んだ意味をすぐに理解した。 聖職者を拠点とする光種族に、自然使いは面白くなかったのだろう。 「魔法は相性がある。闇と光に相性があるように…といったほうが、すぐにわかりやすいか。」 「相反するもの同士は学べないということ?」 「そういうこと。」 優一はまた紙に書く。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

947人が本棚に入れています
本棚に追加