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愛は優一と一緒に晩御飯を食べる。
食欲が物凄い。
「優一ってたくさん食べるほうなの?」
「必要に応じて。魔法体力がもてればいい。」
「でも、たくさん食べないとお腹すかない?」
「感じたことないな。ほとんど、木の実や、魚で済ませてきたし。」
優一は、しゃべりながらご飯を平らげた。
「ごちそうさん。」
「早いね。」
「俺の日常は、訓練ばかりだったからな。」
「どんな訓練?やっぱり詩人のほうとか、魔術?」
「魔術と体術だ。詩人は師匠の軽い趣味で覚えさせられた。」
「へぇ…。」
愛もご飯を終えるとお皿を水道へ持っていった。
「あ、俺も手伝うよ。」
「ありがとう。」
皿を洗いながら、愛は魔術について聞く。
まだ勉強していないことがありすぎた。
「楽器は、詩人にとって良いことはあるの?」
「風読みがやりやすいだけだが、あとは自然と共感しやすくなるメリットがある。ただ、演奏ができないものには意味がない。」
「自然魔法も、天使が下ろせるのかな?」
「下ろせる。お前、魔法を学ぶとき、祝福をしたろ?」
「ああ。魔法契約?」
「そう。それ。」
皿を洗い終えると机の前に座る。
「これ、借りる。」
優一は使わない紙と、ペンを手に取る。
「魔法契約をしていれば、天使を下ろすことは可能だ。」
「私は光魔法しかわからないな。」
「ただし、魔法契約は全部できないことはわかるな。」
優一は紙に風火水土雷と文字を記入する。
そして、それぞれに矢印をつける。
「うん。私、優一みたいになりたくて風を覚えたけど…水と土の両方、どちらかの組み合わせしかなかったから。水を学んだよ。」
「詳しく説明されなかったのか?」
「変な目で睨まれた。」
愛は不機嫌そうにした。
優一はその睨んだ意味をすぐに理解した。
聖職者を拠点とする光種族に、自然使いは面白くなかったのだろう。
「魔法は相性がある。闇と光に相性があるように…といったほうが、すぐにわかりやすいか。」
「相反するもの同士は学べないということ?」
「そういうこと。」
優一はまた紙に書く。
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