見えぬ敵

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「けど、優一は3つ使ってるよ?」 「…?俺がいつ3つ使った?」 「だって、雷に、炎に…風。」 「風は詩人として、ただ踊らせてる。正式には、自然魔法は2つしか無理だ。」 優一は簡単に説明をしてみせた。 「あ、優一って、前に練習したけど…飛び込んだとき、何かを発動したよね?何か、青白いものが足に絡みついたように固まって…」 「フリーズっていう魔法だ。自分も動けなくなるが、相手の動きを一瞬だけ封じる。お前、本当に何も知らないんだな。」 「…うぅっ。本当に、光魔法しか知らないから…」 優一はその言葉を聞くと面白くなさそうにした。 「光種族は変だな。妙な規則で縛り付けすぎている。」 「闇種族は、荒い性格で残酷って聞いたけど…?」 「はぁ!?どっから聞いたんだ、そんな噂!」 優一の大声にどきりとする。 「荒いのは術式のほうだろう。ま、闇魔術だから仕方ないんだけどな。」 愛は、今まで闇種族について教えてもらったことを整理してみた。 だが、どれも、優一は違うと否定をする。 同じ闇種族だから、間違いはないだろう。 「なんで光種族は、闇種族を変な扱いにしたんだろ?優一はとっても優しいし、とても噂が本当だとは思えない。」 「多分、そういって団結力を高めたかったんだろう。」 優一はため息をついた。 「いい迷惑だ。」 「逆に。私の神父、神官様が、まさかあんなに残酷だとは思わなかった。」 「確かに…」 「優一の神官様とかは、どんな人?」 「いい人だよ。俺の師匠のいい相手だった。大雑把な性格で、別に罪を犯しても、牢屋に入れられて反省させられるだけだ。」 「それだけ?」 とても不思議な世界。 「私といえば、優しくしてもらったのは一人だけだからなー。」 「同じ仲間でか?」 「魔力の扱えない私なんか、みんな興味がなかったんだよ。」 愛は、悲しそうにこたえた。
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