見えぬ敵

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優一も、少し黙ってしまった。 だが、そんな沈黙を愛は破る。 「あはは。なんか、色々教えてもらっちゃった。」 「役に立ったか?」 「うん。今度、フリーズとか、そういう魔法も教えてほしいな。」 「基本魔法だから、すぐ覚えれる。」 「基本魔法かぁ…。」 愛は笑ってみせた。 そんな愛に、優一は首を傾げた。 「一つ疑問なんだが。愛は、魔法の制御が上手くできてない気がする。」 「覚えが悪いからだよ。あはは…。」 「いや、ただ下手じゃない感じがする。」 「そうかな?それを上手く扱えたら、魔法にも磨きがかかるかな?」 愛は笑って問いかけると、優一は立ち上がる。 「?」 「そろそろ失礼する。いつまでも上がり込んでるのはいけないからな。」 「あ、うん。」 優一はドアに向かう。 その姿を目で追う。 「今日は、深い夜だな。気をつけろ。」 「え?う、うん?」 優一はそれだけ言うと部屋を出た。 優一は外に出ると空を見た。 部屋に一度戻り、ローブを身につける。 「……いつまで見てんだろうな。あの影は……。」 優一は一つの木を見るとベランダに出た。 下にフワリと降り立つ。 少し歩き、アパートから離れている大木を見上げた。 「さて、いつまで愛の部屋を見続けてんだか……」 「……。」 月の光を利用して姿をけして、闇に溶け込んでいたが、優一にはそれが通用しないらしい。 「さぁ、そこから離れてもらおうか。」 「それは、こちらの台詞ですよ。」 影がゆらりと動いた。
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