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「うるせぇ‼」
おそらく王であろうダルメシアンハムスターの演説を一区切り聞いた所で俺の我慢は限界を迎えた。
「朝っぱらから轟々と喧しいわ❗少しは静かに待てんのかお前等は。」
あー。
ちなみに、俺がここに勤め始めて1週間が過ぎようとしていて、この演説を聞いたのは今日で4回目になる。
【また貴様か‼私の演説を邪魔するとはいい度胸ではないか‼】
邪魔も何もあれで終わりだろうが。
冒頭の1ページをくだらん演説で使いやがって。
【貴様、くだらんとは何事だ❗】
ハムスターにとっちゃ素晴らしい演説なんだろうが人間からしてみりゃくだらん以外のなにものでもないわ。
【ぬぅ……。私を愚弄した罪は貴様の命で償ってもらうぞ‼】
ほう、ハムスターが俺をどうやって処刑するか実に興味深いね。参考までに聞いてやるさ、話してみろよ。
【愚かな人間めこちらに来い❗私の正義の前歯でその命噛み砕いてくれるわ‼】
こいつ俺をかじって処刑するつもりだったのか………。
「それは無理な話だろうよ、いくらお前がハムスター界最強の戦士であっても人間をかじって処刑するには相当な時間が必要だぞ。」
さらに、かじられると分かってて近寄るバカは居ないだろうし、例えかじられたとしても命落とすまでじっとしている奴も一人として存在しないさ。
俺だって1回噛まれたら払いのけるしな。
マジで痛いから。
【とにかくこちらに来い❗決闘だ‼】
断る。
今はみんなのエサやりで忙しいからな、時間が勿体無い。
【貴様、逃げる気か‼】
「心配するな、後でそっち行くから。」
【ふははは、その時が貴様の最後だ❗首を洗って待っていろ‼】
待っていろって………俺がそっちに行くのにそりゃおかしいだろ。
って言うかあいつ首を噛むつもりなのか?
【ははは、なかなか人気者ではないか。何やら楽しげだな少年よ。】
フクロウよ、目と耳は確かか?
今の会話のどこに楽しそうな要素があった?
っと、そうかこいつは鳥類と俺以外の言葉は分からないんだったな。
「あのハムスターが俺を処刑するらしいぜ。」
【それは面白いものが見れそうだな。】
人が処刑されるのを面白いとは何事か。まぁ笑いながら言ったから冗談なんだろうがな。
「ほら、エサだ。」
エサ用のネズミをフクロウのカゴに放り込んでやり、俺はハムスターエリアに移動する。
さて、決闘だ。
エサやりついでにね。
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