後悔という名の一歩道

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俺は始めにする仕事、ケージなどの掃除にとりかかる。 ……とりかかろうとしたのだが…。 「おい。」 少し上の方から呼ばれたのでテンション低めで返事をして声がした方向へ頭を動かした。 お客さんか店長、他のスタッフさんから声を掛けられたのなら営業的テンションとスマイルで明るく返事をしたのだが、今小動物エリアには俺しか居ないし、店はまだ開店前なのでお客さんが居るわけないので声の正体は動物だろうと確信が持てた。 だからテンションは低めにしておいた。動物相手に丁寧な返事をするのは少し嫌だからな。 声の主は真っ赤なショウジョウインコだった。 (以降はジョウ) 「何か用か?」 【お前新入りか?ってか俺の言葉がわかるのか?なんでさっき無視した?アレか、人間様は動物の言葉に耳を貸すような低級な生き物じゃねーってか‼あー、ヤダヤダ。これだから人間は………。】 まったく、質問するのか文句を言うのかどちらかにしてほしいもんだ。 ついでに。 「質問はひとつづつ言え。」 ウサギのケージの掃除をしながら言葉を投げかける。 くどいようだがもう一度言っておく。俺は動物と会話が出来るんだ。 決して妄想なんかじゃないぞ。 【こりゃいいや、話が出来る人間が居るなら苦労はしねぇやなんで言葉が分かるんだ?】 一体どう苦労すると言うのか……。 とりあえずジョウからの質問の答えは俺にはひとつしか持ち合わせいない。 「知らん。」 この一言。 実際、なんで俺は動物と話せるのかさっぱり分からないし、ガキの頃から自然に話してたからな。 【俺達がどんなに話し掛けても人間の野郎は全然わかってくれねーからな。しまいにゃ適当な言葉を投げ掛けてくる始末だ。ケージを掃除してくれ❗って騒いだら大抵の人間はもうお腹空いたの?ジョウちゃんは食いしん坊だねぇ。なんて言いやがる、まったく💢】 それを俺に言われても困るが気持ちは分からないでもないな、それに動物が騒いだら大抵の奴は腹が減ってるんだと思うさ。 まぁ声には出さない事にした。 またグチグチ言われそうだし、今こうしてジョウと話しているが実際は四方から。 【おい、話してないでこっちの掃除してくれよ❗】 【早く早く~】 【ヘイ新人、早くしてくれよ❗】 なんて言葉が飛び交っているもんだからこれ以上は増やしたくなかった。 たまらんぜまったく…。
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