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「一年か、なら俺よりはるかに先輩なわけだな。」
相手フクロウだけど。
【なに、そのような関係は気にすることはない、私と少年は動物と人間なのだからな。いや、人間も動物かな?まぁそんな些細な事はいいだろう、ここは人間と動物で割り切ろうじゃないか。】
「そうしてもらえればありがたい。動物に敬語なんて勘弁してほしいからな。」
それは当然の気持ちと言うものだ、動物相手に敬語を使って頭を下げて愛想よく。
なんて俺にはできん❗
いくら動物と会話が出来るからってそれだけは嫌だ。
仮にも敬語で愛想よく話していたとして。もしそれを他のスタッフやお客さんに見られた日にゃアクアリウムコーナーに行ってアロアナの水槽に頭突っ込んで溺死してやる。
そんな覚悟が俺にはあるので否が応でも敬語なんてこいつら相手に使ってたまるか。
「しかし大変だな、開店までに全ケージの掃除って、結構数があるぜ。」
現在清掃済ケージは大体半数くらい、フクロウと話してる間も俺は手を休める事はしなかったがまだまだ残っている。
【新入の人間はみな少年と同じ事をぼやいていたよ。直に慣れる、それまでの辛抱だ。】
まぁそうだな。
っていうか俺は仕事に慣れる前にこの喧しさに慣れなければいけないがな。
飯8割、早く掃除してが2割の割合で文句が聞こえてくる。
俺は昔の偉い人じゃないんだ、そんなにいっぺんに話しかけられても全部は聞けないよ。
なんて事をこいつらに言っても無駄だろうな……。
いや、無駄だな。
少し前にもフクロウが制止してくれだが2分もしないうちにまた騒ぎだしやがったからな。
こいつらに記憶力ってものがあるのかどうか怪しくなってきた。
【皆も嬉しいのだよ、話せる人間が来てくれたのだからな。私だって嬉しいのだぞ少年よ。】
まさか、毎日こんなんじゃないのかこいつらは、って…。
「お前も?そいつは驚きだな。実に普通なテンションじゃないか。」
【私は夜行性なのでね、明るい所では感情を高ぶらせる事が辛いのだよ。しかし嬉しい事には変わりはない、仲間ではなく人間とこうして会話が出来る事を私も望んでいたのだからな。】
やっぱり動物も人間と会話してみたいと思う事があるんだな。
ん?
って事はフクロウは何か希望があるんだろうか。
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