『棘』

2/6
158人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「もう君とはやっていけない」   男は、深く溜め息を吐いた。   「そうだね」   私は、抑揚のない声で答えた。   大きな声では言えないけれど、今、ホテルの目の前にいる。   車内には、重たい空気が漂っていた。   「……君は一生恋愛なんて、出来ないよ」   そう言い放つと、男は私を睨み付けた。   「そうだね」   私はまた、さっきと同じ調子で答える。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!