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それから1週間が過ぎた。あおいは他の男子を集めて“野球愛好会”を設立して練習に励んでいるようだ。毎日授業が終わるとすぐにグラウンドへと走って行く様子から、本当に楽しいんだろう。高校に入ってできた友達に愛好会での出来事を嬉しそうに語っていることも多かった。
だが、勝哉とはあの時以来話してない。断った側、断られた側、双方に気まずさが残っているのだろう。何を話せばよいのか分からない。最初の席決めで隣り合わせになったが、会話は生まれなかった。
一方の勝哉は考え込むことが多かった。あおいが隣となると当然会話もよく聞こえる。愛好会のことを話しているのを聞くたびに、あおいの悲しそうな顔が頭の中に蘇ってしまう。そのたびに勝哉は思い返す。本当に断ってよかったのかと。だが、もう野球はやらないと頑なに拒む自分もいる。
勝哉の頭はパンクしそうになっていた。
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