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勝哉の実力もなかなかのものだった。足が遅いという欠点はあったものの、他は平均以上だと言える。特に守備に関しては一級品で、本来ならば頼れるキャッチャーだと言われるだろう。
しかし、兄である勝昭があまりに偉大すぎた。勝昭と比べたら勝哉は劣っていると言われても仕方がなかった。その為、あかつき中学のメンバーのほとんどが勝哉のことを
“出来損ない”
と皮肉っていた。監督からも実力を認められず、試合もほとんど出場出来なかった。
勝哉は周りの対応に苛立ちを感じながらも、必死に耐えた。勝手に言わせておけばいいと自分自身に言い聞かせていた。だが、勝哉の精神面は少しずつ限界へと近づいていく。そして事件は起きた。
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