閉眼

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動揺した意識のまま定時になり、仕事を終えた。 まっすぐ帰宅するつもりだ。 会社を出た直後、同僚と上司合わせて数人に声をかけられる。 私を飲みに誘っている。 当然、私は行く。 行くところがないのならば、 まっすぐ帰宅するところだが、 誘われたのならば行かなければならない。 なぜなら私は皆に好かれているからだ。 ―――なぜだ。 なぜ私はついていく。 私はまっすぐ家に帰宅するつもりだったのだ。 しかし私の口から出た言葉に同僚が笑い、上司が笑う。 私はおかしい。 これが現実か。 愛想の良い私はここにいるのか。 人付き合いの嫌いな私はどこだ。 笑顔を振る舞うのは私なのか。 私はおかしくない。 これは夢だ。 愛想の悪い私はここにいる。 人付き合いの好きな私がいる。 仏頂面で振る舞うのが私である。
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