ACT.1

6/6
前へ
/17ページ
次へ
    「ファントムさん,リベリオンって言ったらあのマフィアの?」   リベリオンを知っているらしく面倒臭いと言った風な表情を見せるのはクロウ。   「そ。」   答えたのは平然とした表情のツヴァイ。   「成る程ね。拉致の目的は金かな?」   同じくして特に驚きを見せる訳でもなく平然としているゼクスはファントムを見ながら尋ねる。   「可能性の一つとして考えられるな。」   依頼書を机に置いてゼクスの方に滑らせる。 ゼクスはそれを確認した後,隣にいるクロウへ渡した。   「この依頼を受けようと思うがどう思う?」   クロウが一通り依頼書を読んだ所でファントムは意見を求めた。   「ファントムに任せる。」 「ボクは構わない。」   ツヴァイ,ゼクスと即答した。 意見していないクロウは三人から視線を受けて気まずそうにしている。   「…構いませんよ。 運転手がいないと大変でしょ?」   その視線に耐えれなくなったのかしばらくして観念したように半笑いで両手を上げるクロウ。   「分かった。 明日,早朝に依頼人と面会するように予定を立てる。」   ファントムは言い終えれば早速机に置いてある携帯電話を手に取り,電話をかけた。 それを合図にツヴァイは眠たいのか欠伸,ゼクスはキッチンに向かい,クロウは二階に階段を上がっていった。   「やっぱりね。」   キッチンから出て来たゼクスは呆れたようにツヴァイと電話をしているファントムを見ながら言う。 それもその筈キッチンには非常食がほそぼそとあるだけだったのだ。   「ツヴァイ,ボク達は明日の朝食を調達しに行ってくる。 運転手,行くよ。」   ツヴァイにそう告げると返答を待つことなく二階に上がる階段に向かい,ファントムが電話を終えた事を確認して一階から二階に聞こえるくらいの声量で先程の台詞の揚げ足を取るようにクロウを呼ぶ。   「あいよー。」   クロウの返答が二階から返ってくればゼクスは玄関から外に出て行き,それを追うように少ししてからクロウが二階から降りてきてツヴァイとファントムに軽く挨拶して外に出て行った。 それからトラックのエンジン音が鳴り,段々と遠退いて聞こえなくなった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加