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月雲形代<つくもかたしろ>
月隠れし夜の無音
泪流れぬ皐月の愁い
言小波の舞葉に流されて
遠い情景 憂となりけり
寂しきは形代の影
月雲の夜二人寄り添う願いは
叶わぬ深遠の記憶故
見つめた幻の如く浸透霧散せし
雨音鳴り止んだ夜に
静かな想い人の声は
耳に届く事無き夜の永き時
虚光淡き遠明の果実だけ
悔やみたるは遠い事なれど
月に映る想いの影で満ち
触れる事叶わずとも
耳に直接流れる声は歓喜の極み
なれど…
月雲
されど…
月雲
今は叶わぬ儚き願いに心閉ざし
それでも尚空の月を探し見つめる刹那
流れた想い空に浸透しせし
その朧を…
月の顔を…
魅せ奉らんと一筋に願い候
されど今は
ただただ…
月雲形代で慰めるよう
沈み浸るだけ…
それでも月雲形代は褪せた笑顔で
されど愛しき笑顔を
いつまでもいとおかしく描き続ける…
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