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俺たちは更衣室で着替え中一言も喋らなかった
というか…
しゃべれなかった
「クラスの奴に…なんていおう」
「あ。すっかり忘れてた」
「まあ俺のけがはたいしたことなくて、お前も膝けがしてたみたいなのでいんじゃね??」
「うん。じゃそれで」
そうして教室にもどり、打ち合わせどおりの返答をした
「あーきはっ」
「…………」
何かが起こった時の時間が過ぎるのは驚くほど早く、あっという間に放課後になってしまった
こういうときは俺の悪知恵が働く
詩歌を驚かそうと、友達から聞いたいつも通りの俺を演じることにした
「今日ね、僕テストだったんだーっ。今回はね、けっこう自信あるんだあ」
「……………」
詩歌はいつもこんなに俺に話しかけていてくれたんだな…
「100点だったら、なんかご褒美ちょうだいよね」
「……」
「でも本当は、本当は頑張ったご褒美もほしいよ…」
そういった詩歌は俺の手を引きながら泣いていた
俺はいてもたってもいられず、詩歌の手を引いて抱きしめた
「よく頑張ったな…」
「………うそ…」
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