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作戦前日、武は特に何をするわけでもなく自室のベッドに腰掛けていた。そんな時、部屋のドアがノックされ、彼の返事を待たずに誰かが入って来た。そんな事をする人間は彼が知る限り1人しかいない。武はそれが誰かを確認する事も無く、その人物の名を口にした。
武「冥夜・・・。どうした?眠れないのか?」
彼女は武の問いには答えず、彼の隣に腰を下ろした。
武「冥夜?」
武は横を向き彼女の顔を見ようとしたが、髪に隠れてよく見えない。すると、彼女はゆっくりと体を倒し、武の肩に寄り掛かってきた。彼はその肩をしっかりと抱き寄せた。
冥夜「私は、ずるい女だ・・・。」
武「はぁ?」
冥夜「私は・・・、こうしてそなたに抱かれる事で不安を紛らわす事ができる。だが皆は・・・。」
武「ああ、そういう事ね・・・。」
武は心の中で『冥夜らしいな。』と思った。彼女は自分ではなく榊達の心配をしていたのだ。
武「心配しなくても大丈夫だろ?お前みたいに1人で抱え込んだりする奴等じゃねぇよ。」
冥夜「馬鹿・・・、真面目に聞くがよい。」
武「それに、ずるいって何だよ?俺はお前の恋人だろ?逆に頼ってもらえなかったらかなりへこむぞ?」
冥夜「馬鹿!そういう事では‐」
武「やっぱりさ・・・、冥夜はすげぇよ。」
冥夜の言葉を遮り、武は天井を仰ぎそう呟いた。対する冥夜は彼の言葉に反論する。
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