Episode2 ‐本物の戦場‐

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 白銀武は撃震のコックピットの中でゆっくりと息を吐いた。催眠暗示プログラムのお陰なのかは分からないが、恐怖や不安はあまり感じられない。ただ、自分が緊張しているという事だけは確かなようだ。網膜に投影されるアルファ中隊の面々の表情にも緊張の色が感じられる。  アルファ中隊はシェリホフ湾沖で待機中の戦術機母艦の中でそれぞれの戦術機に乗って自分達の出番を待っていた。この戦術機母艦には、アルファ中隊の8機の撃震の他に、月詠ら第19独立警備小隊の4機の武御雷も搭載されている。月詠の存在も、少なからず武達の精神がある程度安定している要因となっている。  現在、戦艦によるAL弾を用いた砲撃が行われており、次第に重金属雲の濃度が上昇している。間もなくG弾が投下される頃だろう。 HQ(ヘッドクォーター)「HQより全作戦参加部隊。間もなくG弾が投下される。各自衝撃に備えろ。繰り返す、G弾による衝撃に備えろ。」 諫渚「アルファ1了解!」 月詠「ズール1了解。」 諫渚「アルファ1よりズール1。中尉達はこれより、形式上臨時のC小隊として私の指揮下に入る事になるが、戦闘に関しては基本的に自由に動いて貰って構わない。実力はそちらが上だからな。」 月詠「ズール1了解。余程の事が無い限りは大尉の指示に従います。」 諫渚「よろしく頼む。」  諫渚と月詠の会話を聞いていた武は、それがとても滑稽に見えた。普段は見ることが少ない、月詠が敬語を使う姿と彼女が上の立場の人間から命令(と言えるほど強い言い方では無かったが)される姿が新鮮だった為だ。 諫渚「アルファ4、随分余裕だな?もうすぐ上陸だ。気を引き締めろ。」 武「も、申し訳ありません。」  どうやら表情に出てしまっていた様だ。いかんいかんと武が気を引き締めたその時、HQの声が再び響き渡った。 HQ「着弾まで5・・・4・・・3・・・2・・・1‐」  HQの声が途切れた直後、2度の軽い衝撃を感じたが、武はもっと凄まじい衝撃を予想していた為、拍子抜けしてしまった。 武「今、爆発したんですよね?」 諫渚「信じられないか?」 武「はい・・・。」 草間「もう少ししたらハイヴ周辺のデータが更新されるから、それを見るといいわ。」 武「了解。」
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