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ちなみに、ひかるとは母の事。
我が家によく来るメイと母は顔見知りで、実家から離れて暮らすメイは母を“ひかるママ”と呼ぶの。
『らしいとか、らしくないとかじゃないわよ。早めに帰ってきてくれないと困るわ。』
あたしは窓辺に立ち、秋の空気を部屋へ招き入れる。朝日さんが上がってきたら閉めよう。
“『あら、良いじゃない。朝日さんに毎夜毎夜抱かれたら?そのうち きっと、みちるから誘』”
『わないわよ!!』
ふるふると体が震えるのは、秋の夜風が冷たいからかしら?それとも怒っているからかしら?
その時ふわりと体を暖かいものにくるまれて、窓を閉められる。
顔だけで後ろを見上げると、髪から雫を滴らせた朝日さんが立っていた。
そして、あたしをフリースの肩掛け越しに包むのは、朝日さんの大きな体。
『風邪引くよ、みちるさん。まあ、風邪引いたら僕が看病するけどね。』
前かがみになった朝日さんの吐息が耳に当たって、くすぐったい。でも、嫌だと感じないのは、朝日さんが肩掛け越しに抱きしめてくれてるからかしら?
それにしても、人の体温って、こんなに落ち着くものなのね。
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