金木犀~あなたの気を引く~

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朝日さんに食後の珈琲を出す。 『朝日さんは、今日はお仕事ですよね?時間、大丈夫ですか?』 食器を濯ぎながら、時計を見る。きっと、土日が忙しいよね?宅配屋さんって。 あたしは、土日は休み。つまり今週は3連休になるわけで、急いではいない。 『そうですね、もう そろそろ出ようかな。ねぇ、みちるさん。今日の夜、外で食事をしませんか?』 朝日さんが照れたように笑うので、なんだか あたしも照れてしまった。なんだか、可愛い面も持ってるのかもなぁ。 『…はい。是非!!』 中学生でも、食事に誘われたくらいで こんなに返事を溜めたりしないわ。 あたしは心の中で、こっそり自分に突っ込む。あたしの返事を聞いて瞳を輝かせた朝日さんを微笑ましく思いながら。 『良かった。じゃぁ、夕方迎えに来ますね。…行ってきます、みちるさん。』 朝日さんを玄関まで見送る。そして、靴を履いた朝日さんは、くるりと振り返った。 忘れ物?と思った瞬間とほぼ同時に、唇にキスされる。 『あーあ。そんな可愛い顔されたら…仕事なんて放って、1日中みちるさんの気を引いていたいな。』 『はっ早く仕事行ってください!!』 熱い顔を抑えてキッと睨んだが、朝日さんには どこ吹く風。 これも、イケメン力かしら。
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