白粉花~小心、臆病、積極的に~

3/8
前へ
/26ページ
次へ
プツッ 『はい、もしも…』 『メイ!!あたし どうしよう!?変態イケメンに騙されて結婚しなくちゃいけないかもしれないの!!こんな事なら、あの時 太陽からのプロポーズ受けとけば良かったよぉ。ねぇ、メイ?メイさーん?聞いてる?』 電話口の、メイであるはずの相手は沈黙していた。うんともすんとも言いやしない。 少し早口過ぎた? 『ね、メイ…』 『うるさいわ、みちる。早口で何言ってるのか分かりはしないし、あたしの言葉を遮るなんて 良い度胸してるわね?』 メイの、怒りを含めた声が耳に響く。 …こ、怖い。 『ご、ごめん。メイ。』 あたしは取りあえず謝る。メイを相手にするなら、謝っておくに越したことはない。 『解れば、良いわ。で、どうしたの?』 今度は、優しさを含んだ声が耳に入ってくる。 その声に少し落ち着いた あたしは、今日あった事を全て打ち明けた。 何も言わず、真剣に受け止めてくれている姿が目に浮かぶ。 『だいたい解ったわ。ねぇ、あたし今日 残業ないの。今から みちるん家行くわ。話はそれからしましょう?』 それから、7時半ごろに約束をし、メイと食べる夕飯の準備をする。 麻婆茄子に、炊きたてご飯に春雨スープ、サラダを作っていく。 ちょうど出来上がる頃に、来客を知らせるチャイムが鳴った。 きっと、メイだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加