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『はあい。』
新婚の奥様さながらに、エプロン姿でパタパタと玄関へ向かう。
そして、相手がメイだと信じきっている あたしは、迷わず鍵を開けた。
『ちょうど良かったわ、今ご飯…』
『ただいま、ハニー。迎えに着たよ。ああ、エプロン姿も素敵だね。食べてしまいたいくらい。』
しかし、目に飛び込んできたのは諸悪の根源である変態イケメンだった。
きっと、今 会いたくない男ランキングがあるなら…コイツがダントツトップだわ。
げ。最悪。と、眉間に皺を寄せて悪態をついていると、変態イケメンの後ろから ひょこっとメイが顔を出した。
どうやら今、着いたらしい。
その可愛らしい顔には、変な物を見てしまったような表情を浮かべている。
ハニーて辺りから記憶を消してもらえないかしら?
『なに?取り込み中?この人、誰?』
不審な目で変態イケメンを見上げるメイに向かって、変態イケメンは振り返り、人好きする笑顔で丁寧に頭を下げた。
『僕は、朝日 登と申します。みちるさんとは結婚を前提にお付き合いさせて頂いております。みちるさんのご友人ですか?』
いやー流石みちるさんのご友人だけあり、綺麗な人だとか褒めちぎっている変態イケメン。
メイは、イケメンが気に入ったのか、いつもとは違う声のトーンで挨拶をした。
さっきの不審そうな目が嘘のように消えている。
『ご丁寧に ありがとうございます。私、五月メイと申します。みちるとは、学生時代からの付き合いですので、色々お役に立てると思います。』
…メイ、コイツが誰か解って裏切ったわね?変態、勝手に あたしを彼女にしないでくれる?
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